第139回タスクフォース21
2020.2月例会

講演録

民法改正のポイントと契約上の留意点

講師:半蔵門総合法律事務所 弁護士 野﨑 修

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消滅時効

現行法と改正法

 皆様、こんにちは。明治30年ごろにできた民法が大改正され、2020年4月1日から施行されます。この短い時間ですべてを説明するのはとても困難ですから、本日は「こういうところが改正されたのだな」ということを知っていただければと思います。

 まず、消滅時効制度というものが変わりました。これまでの民法では、原則は権利を行使できるときから10年。本人が知っているとか、知っていないとかにかかわらず、客観的に権利を行使できるときから10年というのが、今の民法です。

 また、これまで民法は職業別に細かく1~3年くらいの短期時効というものがありました。たとえば飲み屋の売掛は1年、小売店等は2年、請負代金債権は3年といったような時効が定められています。

 それが、今回の改正法でまとめられました。権利を行使できるときから10年というところは同じです。もう1つできたのは、権利を行使できることを知ったときから5年です。どちらか早いほうになりますが、皆様が契約されている場合には、弁済期を定めますよね。それは、権利を行使できることを知ったときから、になります。ですから、ほとんどの契約が5年の時効が適用になります。

生命侵害の損害賠償、労働債権

 交通事故といった不法行為、そして労災といった場合は、一般的には企業は社員に対して安全配慮義務を負っていますから、違反すると債務不履行責任になります。生命、身体が損害を受けた、あるいは亡くなったという場合には、結論から申しますと、不法行為であっても債務不履行であっても、権利を行使できることを知ったときから5年、行為から20年のどちらか早いほうになります。不法行為だろうと、債務不履行だろうと、生命身体侵害の場合は5年、20年と統一したということです。

 では、労働債権はどうなるのか。………本文の続きを読む>>>

企業ホームページのセキュリティ対策~セキュリティリスクの考え方~

講演:WEBエンジニア/WEBコンサルタント 西村 祥

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はじめに

本日はよろしくお願いいたします。私は普段、会社勤めをしながら、個人事業主としてWEBエンジニアやWEBコンサルタントをやらせていただいております。

 ホームページのセキュリティ対策については、実際どういう対策をとるべきかだったり、どういったことをすればいいかという具体的な内容というよりは、どう考えるべきかといったことを中心にお話させていただきます。

近年のWEBサイト被害について

実は中小企業のほうが狙われる

 WEBサイト被害というものは、常に発生しています。近年、特に目立ったものですと2013年のトヨタ自動車のホームページ、2017年のフジテレビダイレクトというECサイト、そしてかなり話題になりましたが2018年の仮想通貨取引所のコインチェックで不正アクセスがあり、大変な被害額になりました。

 またYoutubeでもありました。Googleが運営しているので、セキュリティについては相当しっかりしているはずですが、被害に遭っています。

 2019年に話題になったのはセブンペイですね。あれはアプリケーションですが、会員登録の部分に不備があったため、WEBサイトの被害に含まれます。

 このように、セキュリティ対策がしっかりしているはずの大手でも多くの被害が出ています。大手が狙われる理由は簡単な話で、アタックする側からすると儲かるからです。2018年の仮想通貨「NEM」では580億円儲けているわけですから、アタックする側もリスクを冒してでもやる理由があるのです。

 そう考えたとき、中小企業のホームページや、運営しているWEBサイトは、アタッカーにとってあまり利益がないのではないか、と思いますよね。ところが昨今は、中小企業のほうが多く狙われているのが現実です。サイバー攻撃を受けた会社のうち、大企業が占める割合が減少していて、小規模の企業の割合が5年間で2倍になり、今も増え続けています。

中小企業が狙われる理由

 中小企業が狙われる理由は主に3つあります。まず、中小企業では………本文の続きを読む>>>

ホームページのSSL化のすすめ~http://とhttps://~

講師:株式会社ノラ・コミュニケーションズ 宮田 哲治

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http://とhttps://の違い

 西村さんに引き続き、セキュリティのお話をさせていただきます。ただ西村さんのお話は水面下での戦いでしたが、私のほうではお客様が実際に閲覧するホームページについて、お話しさせていただきます。

 Microsoft edgeやGoogle chrome、MacのSafariなどを使ってホームページを見ていて、「注意してください」「保護されていない通信」「安全ではありません」といった表示を見たことはありませんか? これを見ると、「えっ、大丈夫かな?」と思ってしまいますよね。お客様が見る自社のホームページで、もしこれが表示されていたらどうでしょうか。お客様がホームページの閲覧を諦めてしまう可能性もあります。本日は、なぜこれが表示されるのかについてお話します。

 よく、昔ラジオなどで「HTTP……」と読み上げているのを聞いたことがあると思いますが、現在は、「HTTP」と「HTTPS」という規格があります。これは、通信が暗号化されているか、されていないかという違いがあります。「HTTPS」で暗号化されることによって、より安全に情報をやり取りすることができます。

 また「HTTPS」のもう一つの役割として、ホームページの所有者としての正当性を証明することができます。たとえばフィッシングサイトや偽物のサイトは、違うアドレスを使用したりするわけです。ですから、通信先のサーバーが、その企業の正当な所有者であることを証明するものを発行し、それを「SSLサーバー証明書」と言うわけです。

 つまり「HTTPS」になることによって、通信の暗号化と、サーバーの所有者の正当性を証明することができるということです。

SSL化が広まるまでの流れ

 20年くらい前から、こうした話が出始めました。最初は問い合わせフォームやネットショップのカート部分など、大企業が販売するためのページのみ暗号化されていました。

 ところが2014年8月、………本文の続きを読む>>>

顧客囲い込み戦略~自社会員組織を構築する~

講師:株式会社クラブネッツ 部長出野 将弘

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はじめに

 今日はプレゼンテーションをさせていただきますが、勉強会だとお聞きしていますので、弊社のPRが2割、皆様への参考情報が8割という形でお話させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 この会場にいらっしゃるほとんどの方が、弊社のことをご存知ないかと思いますので、簡単にご紹介します。クラブネッツは、ボウリング場を経営しているラウンドワンのグループ会社として20年前に誕生しました。そこから独立し、16年目を迎えています。

 事業内容として、まずはポイント販促があります。いわゆるTポイントやJALのマイル、nanacoポイント等、各種共通ポイントの裏側のシステムや端末機を開発しています。またダイレクト販促ということで、お店とお客様、ガス事業者様と需要家等をいかにつなげるかを考え、LINEやアプリのしくみや、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済のサービスなどのシステムも開発しています。

 取引先としてはほとんどが店舗で、北は北海道から、南は沖縄まで、1万件に近い店に、弊社のいずれかのサービスを導入しています。

 ガス事業者様との関わりでいうと、電力小売自由化からスタートして、ポイントサービスを中心に、現状200社以上に弊社のポイントサービスを入れていただいております。手前味噌ではありますが、ガス事業者様におけるポイントのしくみの提供者としては、圧倒的な1位の地位を築かせていただいております。

話題の情報で、世の中の流れを読む

日本のキャッシュレス化は、なぜ進む?

 2019年10月から、経済産業省がキャッシュレス・ポイント還元事業を始めました。店頭やテレビ、雑誌でキャッシュレスマークを見ない日がないくらい、我が国は急激にキャッシュレス化を推し進めています。

 日本のキャッシュレス化は、世界的にとても遅れています。現状のキャッシュレス比率は、………本文の続きを読む>>>