第140回タスクフォース21
2020.8月例会

講演録

ウィズ・コロナ時代におけるLPガス業界への提言

講師:エネルギー事業コンサルタント 角田 憲司

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はじめに

 エネルギー事業コンサルタントの角田と申します。このタスクフォース21ではときどきお話させていただいておりますので、人となりはおわかりいただいているのかなと思いますが、ガス事業者を卒業し、4月からフリーのコンサルタントになりましたので、少しプロフィールをご紹介いたします。

 1978年(昭和53年)に東京ガスに入社し、昨年65歳になったことで東京ガス、日本ガス協会と雇用契約を解除し、フリーになりました。都市ガス業界、LPガス業界の方々を中心にご支援させていただいております。4月以降、コロナの影響で出向く仕事がなくなってしまうのかなと思っておりましたが、リモートワークということで、こういった形の講演会や打ち合わせも週1回ほどやらせていただいております。皆様も同様かと思いますが、この4カ月で、自分たちの仕事におけるコミュニケーションの取り方がここまで変わるとは誰も思っていなかったと思います。

「コロナ」という用語の整理

まだ“イン・ザ・コロナ”と“ウィズ・コロナ”の中間

 まず、コロナという言葉を私はこう使っているというお話です。このコロナによる危機は、大きく言うとパンデミック危機ですよね。すなわち、世界的に感染症が流行している。もっと昔には、スペイン風邪などもありました。

 そういう状況の中で“コロナ禍”などいう言葉も出てきています。コロナ危機とコロナ禍では何が違うのか。おそらくコロナの禍(わざわい)を受けた状態である経済社会の状態をコロナ禍と言うのがいいのかなと思います。

 緊急事態宣言が解除された5月以降、マスコミから盛んに“ウィズ・コロナ”“アフター・コロナ”“ポスト・コロナ”といった言葉が出てきて、気が付くとそういったタイトルの本が書店にたくさん並んでいます。おそらく、誰もが「緊急事態の状態から出て、経済社会を再開しつつ、併存していくのだろう」と思っていたからではないでしょうか。

 一番厳しい4月のコロナ真っただ中を“イン・ザ・コロナ”とすると、残念ながら夏から状況は変わらず、我々はまだ“イン・ザ・コロナ”と“ウィズ・コロナ”の中間くらいにいます。ひょっとしたら、また逆戻りをする可能性もあります。

 こういった講演などの機会をいただいても、原稿をつくって送った後にまた世の中が変化している、ということも多いです。資料づくりもなかなか大変だなというくらい、まだまだ環境は変わっていきます。今日お話するのは、この時点で我々が置かれている環境をもとに整理し、提言させていただく形です。今後、状況が変わっていけば、こんなものでは済まなくなるかもしれないし、またもっと早くよい状態になるかもしれません。そこをご了承いただき、聞いていただければと思います。

コロナ危機はLPガス事業にどんな影響を与えたか

当面の社会経済状況

 当面の社会経済状況をどう見るかですが、緊急事態宣言が解除されても、感染リスクは残っています。先週までの資料には「予断は許さない」としていたのですが、本日は「再拡大の兆しがある」という表現にしています。

 社会経済的には、感染防止策と経済を両立させる。これが非常にしんどい状態で、経済を緩めれば感染が増えてしまうというジレンマが起こっています。たくさんの有識者が述べているとおり、日本経済はリーマンショック後を上回るくらい激しいものになると思われます。

 また、これによりリモートワークが進展し、デジタル化が見直され、働き方も変わってきました。新たな動きが加速化すると言われています。

 そして、日本は経済に注目しがちですが、世界を見渡すと、これを機に「経済競争一辺倒でよかったのだろうか」という反省をもとに、地球環境とどう共存していくかといった議論が起こっています。日本においてはまだ弱いところですが、いずれこういう流れになると思います。

これらに加え、私は経済の中でも、地域への影響というものが一番大きいと思っています。というのも、日本のGDPの7割をローカル経済が占めていると言われており、そこがもっとも大きな打撃を受けるだろうということがあるからです。リーマンショックの場合は金融危機からでしたが、………本文の続きを読む>>>

直接売り手の集客ができるダイレクトマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」

講師:株式会社M&Aクラウド 執行役員 岡道 俊人

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はじめに

 皆様、こんにちは。本日は、M&Aの新しい形であるダイレクトマッチングプラットフォーム、М&Aクラウドのサービスについてお話をさせていただきたいと思います。

 まず弊社のご紹介です。M&Aクラウドは5期目のスタートアップベンチャー企業です。27人のメンバーで構成されています。売買経験者、事業承継当事者、プロフェッショナル、エンジニアといったバランスのとれたチーム構成になっています。

 共同代表の2人にはそれぞれ事業売却の経験があり、代表の及川は大学卒業とともに自分で立ち上げた会社を上場企業に売却した経験があります。そのときに感じたM&Aの課題を解決したいと思い立ち上げたのがM&Aクラウドです。

 M&Aクラウドのミッションとしては、「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を」と掲げています。攻める部分については、イノベーションを増やすこと。少子高齢化経済では、新しいビジネスは生まれません。このままでは日本は沈んでいく一方ですから、イノベーションが起きやすくなるインフラをつくるというところです。

 守る部分については、雇用と伝統を守ることです。事業承継M&Aを促進するインフラをつくることで、雇用と技術、ひいては日本の経済を守るというところです。

M&A市場は巨大だが、仲介業者が不足

M&Aに流通革命を起こす意味についてお話します。事業承継を病気に例えています。今、22万社が病気にかかっています。会社を残したいという思いはあるのですが、なかなかそこがうまくいかないという状態です。

 そういう中で、年間4,000件程度が手術、つまり事業承継が必要になっています。しかし医者、つまりM&Aのコンサルタントとなる仲介業者は600人ほどしかおらず、基本的に1人1.2件くらいしか対応(М&A仲介)できていないのが現状です。到底4,000件もの手術は間に合わないということです。

 現在の中小ベンチャー企業のM&A市場には病気で苦しんでいる人がたくさんおり、値上がりしている手術になってしまっています。事業承継ができず、黒字のまま倒産する会社があふれ、このままではどうしたらいいのか、という状況になっています。

 難しい手術は、やっぱり医者にお願いしたいですよね。でも簡単に治るものなら薬、………本文の続きを読む>>>

マイルドクリア67のご案内

講師:笹岡薬品・笹岡ウエルネス販売 代表 笹岡 邦充

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はじめに

 本日は「マイルドクリア67」という消毒液を販売するに至った経緯と、商品の特徴について簡単にご説明させていただきます。

 まずは弊社の簡単な紹介です。弊社は「命の母」という商品を明治38年につくりました。それから118年間、この商品で、女性の健康にお役に立ってこられたかなと思っています。

 この商品をつくった私の曽祖父は、女性のために、女性が喜ぶものをつくり続けたいという思いから、「健命優母の精神を持って社会に貢献する」という企業理念を掲げました。健やかな命は、優しい母から生まれる。それを大切にしていこうという思いです。

 笹岡製薬は今も化粧品、健康食品の販売をしていますが、やはり“女性”をキーワードに開発をして、日々がんばっています。

販売経緯

 それでは「マイルドクリア67」という商品の販売経緯について簡単にご説明いたします。今年2~3月ごろ、世の中でマスクと消毒液が不足する事態となりました。私どもの会社は兵庫県にありますが、各事業者様から「安心できる商品を継続的に購入したい」という声をたくさんちょうだいいたしました。そのころ、マスクは1枚100円くらいの価格となっており、不織布50枚入りが5,000円くらいになっていました。消毒液も例外ではなく、1ℓ4,000円くらいにまでなっていたのです。

 そういった中、弊社に「安心できる商品はないか」という声が集まりました。安心できるというのは、国産であるということです。なおかつ継続的に安定した価格で提供できる商品です。これを開発することによって、世の中に貢献できるのではと思い、2月に発売させていただきました。

アルコールの分類

 では、アルコールの分類についてお話します。日本国内において、アルコールは4分類に分かれています。医薬品、医薬部外品、化粧品、そして雑貨です。医薬品、医薬部外品、化粧品については、人が使うものです。雑貨というのは、ものに使うものです。

 医薬品、医薬部外品については、アルコール濃度が約75%前後で、医療機関等で使われているものが多くあります。

 一方、化粧品はアルコール濃度が低いのですが、………本文の続きを読む>>>

「業界人アンケートについて意見交換」

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司会:矢部 緊急事態宣言への業界各社の対応についてアンケートを行いました。それについてご意見をいただきたいと思います。まずアンケートの内容ついてご説明ください。

事務局:中川 会報39号には7月9日時点のアンケート結果を出しました。総会の活動報告、活動計画でもお話しましたが、前期2回開催しなかった会場費等を、業界への調査費にいたしました。このアンケートを「月刊LPガス」を通じて業界に広め、現在タスク関係者だけに聞いているものを、もう少し範囲を広げて継続していきたいと思っています。  コメントをたくさんいただいておりますので、皆様の独自の対策や、アンケートの回答を見て、皆様のご意見をおうかがいしたいと思います。  質問の中には、「緊急事態宣言が出て、対応に苦慮したことは?」といったものも入れました。一般的にはマスクや消毒液の確保、我々特有のものですと保安の訪問がしづらい、オンラインの利用ができる業務とできない業務があるといったことです。  そしてBCPの問題は本会でもとり上げてきましたが、どちらかというと地震や風水害に偏っていました。そこにパンデミックを想定していたのか、想定していたとしても役立ったのかといったこともうかがっています。  そして本日、皆様からご意見をいただきたいのは、今回の経験から学んだこと。宣言中にどんなことが起きて、どんな対応をして、どんなことが想定外だったか。しばらくこの状態が続くでしょうし、場合によっては秋以降、激しくなるとも言われています。その中でどう手を打っていくべきかということも意見交換できればと思っています。

矢部 それでは、参加者からご意見をいただきたいと思います。東洋計器の中田さん、お願いいたします。

東洋計器:中田氏 私は営業ですから、フェイストゥフェイスが基本でした。それが、お客様と面会できないという厳しい状態が数カ月続いています。当然リモートによる営業もやらせていただいておりますが、新しいスタイルをどうつくっていくかを考える時期にきているのではないかと考えています。  お客様とどう接するべきか。牧野会長もおっしゃっていましたが、お客様視点で、どういう面談の形式をとるのか。また、リモート営業をするにあたって重要なことは、準備です。お客様に伝えるべき内容をしっかり整理し、用意したうえでお客様との間で資料データを共有しながら話を進めていくという営業。いわゆる、パーソナリティだけに頼った営業からの転換が必要になってきていると強く感じています。  ガス事業者の対面営業、秋にかけての展示会なども変化していかなければいけないということになっていると思います。ある事業者から、ガス展を開催して3日間で1万5,000人を集め、1億5,000万円売っていたが、これからどうするべきか、というご相談も受けました。 家にいる時間が長くなると、お客様はパソコン等でホームページをよく見るようになっていると思います。印刷物もそうです。以前、三愛オープンセミナーでアトム電器さんにご講演をいただいたかと思いますが、そのとき、「特選品カタログというものをつくって、お客様にお渡ししている。手間がかかるかもしれないけれど、やっていく」といったことをおっしゃっていました。質の高い印刷物も求められる時代になっているのではないでしょうか?  この秋口までに、私ども機器メーカーについても、あるいはガス事業者の皆様についても、来期に向けての新しい営業手法の確立が喫緊の課題ではないかと感じています。今は手探り状態ではありますが、大きく変わっていく時期ではないかなと思います。  私どもはこの時期IoTの販売をさせていただいております。お客様からの声を拝聴すると、業務用・家庭用の需要が、以前の予測配送では補いきれないということです。だからこそ、毎日の検針が必要になってきています。  そして角田講師のお話にもありましたが、いわゆる人手不足について。配送という特殊な仕事を、誰にでもできる仕事に変えることが、効率化の一歩であるということを感じています。

中川 秋の展示会、感謝祭といったイベントが、紙になっているというお話はあるようですね。ミライフの菅さんはいかがでしょうか?

ミライフ:菅氏 私どもも、現状は秋以降の展示会や感謝祭がすべて中止にしております。それに代わるものとして、Web展示会だったり、ペーパーでのご案内を検討中です。 ………本文の続きを読む>>>