第160回タスクフォース21
2023.12月例会

講演録

LPガス販売事業者のための災害対応BCPについての考察

講師:防災・事業継続コンサルタント 吉原 敏仁

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はじめに

 本日はLPガス販売事業者のための災害対応BCPの考え方の特徴およびつくり方について、私なりに考えている、ごく基本的な要点についてご説明させていただきます。

 私はBCPの作成や防災に関する仕事に10年間ほど携わってきました。とくにBCPの作成については、中小・中堅のLPガス販売事業者とのお付き合いを続けてまいりました。その経験に基づき、本日はとくに中小・中堅規模のLPガス販売事業者に特化したBCPのつくり方について述べさせていただきます。

BCP(事業継続計画)の基本

BCPの定義

 まずBCPとは何か、そして標準的なBCPの考え方に対してLPガス販売事業者はどこをどう変えるべきなのかというところをお話します。

 そもそもBCPとは何かというところです。わが国でもっとも標準的と思われるものは、内閣府が作成した「事業継続ガイドライン」です。こちらで示されているBCP、BCMの定義についておさらいをしてみましょう。

 このガイドラインには、「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ」とあり、こちらがBCPの標準的な定義になります。合わせてガイドラインには概念図が表記されています。縦軸が事業の操業、横軸は右に行くほど時間が進行しているということです。通常のBCPの場合、事業の平均的な稼働率が100%だったところ、大地震などの緊急事態が発生し、一時的に操業が止まってしまったときのグラフです。そのままだとストンとグラフの線が落ちてしまうところ、BCPがあれば止まっています。BCPがない場合は、元の状態に戻すまでにこれくらい時間がかかり、一方BCPがあった場合は、より早く復旧することができるということを示しているわけです。

 そして近年のパンデミックの経験をもとにしたイメージ図もあります。同じように平常の稼働率を100%として、徐々に感染が広がっていった場合、BCPがない場合と、あった場合を示しています。

 ある時点で感染が爆発的に拡大することで、外出抑制や移動制限などのさまざまな規制が発動され、世の中の人の動きが不活発になっていくため、操業度が下がっていきます。ここから元の状態に戻すには、非常に大変な時間がかかるということは、経験のとおりです。こういったことをあらかじめ想定し、BCPが用意できていれば、感染の拡大に応じて、計画的・段階的に稼働率を下げていくことができるわけです。たとえば在宅勤務を増やす、工場などの稼働率を計画的に落とすといったようなことで、社内の感染を防止していきます。ワクチンが導入されるなどにより、ある程度状況が落ち着いてきたところで、………本文の続きを読む>>>

しなやかで強い暮らし創りのために

講師:マーケティング・プランナー 本間 理恵子

動画ダイジェスト版

はじめに

 マーケティング・プランナーの本間です。本日は、「しなやかで強い暮らし創りのために」というテーマでお話をさせていただきます。

 私たちの暮らしを大きく変えたのはコロナです。コロナ禍を経て、私たちの暮らしぶりや意識はどう変わり、お客様はどのような暮らしを望んでいるのでしょうか。いくつかの調査から、お客様の気持ちを把握して、私たちがお客様にいまご提案できることを探ってみたいと思います。

コロナ禍は私たちの暮らしと意識をどう変えたか

男女ともに家事をするのは当たり前?

 まずは、コロナ禍は私たちの暮らしと意識をどのように変えたのかという現状認識をしていきたいと思います。  1980年から2021年までの共働き世帯と、専業主婦がいる世帯を比べた厚生労働省の調査を見てみます。1980年と2021年の状況を比べてみると、まったく逆になっています。3分の2以上の世帯が共働きであることが普通になってきているということです。

 そういうなかで、家事に対する意識の変化についても、NHKの調査から見てみましょう。1973年と2018年を比べたものです。「男性(夫)が、家事の手伝いをすることは当然だと思いますか?」という質問に対して、1973年は53%が「するのは当然」と答えていましたが、2018年は9割がそう答えています。「家事の手伝い」という表現自体も古いのですが、男性が家事をするのは普通のことだと考えるのが当然の時代だということです。

 家事時間の変化を見てみると、1970年の段階で、女性の家事時間は5時間以上。どんどんと減っていき、2015年には4時間18分にまで減っています。一方、男性は1970年に30分未満だったのが、2015年には54分に増えています。女性が家事の時間を減らしたのが1時間、男性の時間が増えたのが30分。つまり女性の家事時間の軽減に寄与しているのは30分だけで、それ以外の30分は高度成長期の冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの進化によるものではないかと思います。またインスタント食品や冷凍食品の普及も、家事時間の削減に寄与しているといわれています。

夫の家事参加の実態

 世代によって家事、育児への意識はどう変わっているのでしょうか。内閣府男女共同参画局の2023年の調査になります。「家事を自分が率先して行うべきだと考えるか」という質問ですが、20代は女性が70.1%、男性が69.8%「そう思う」と答えているので、ほぼ差はありません。30代になると女性のほうが少し多くて74.2%、男性が72.0%です。40代は女性が77.1%、男性が69.7%。50代になると、女性は79.4%ですが、男性は66.6%と差が………本文の続きを読む>>>

LPガス販売事業者の事業承継とM&A

進行役:株式会社スピカコンサルティング 代表取締役 中原 駿男

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はじめに

 皆様、こんにちは。スピカコンサルティング代表の中原と申します。本日は、「LPガス販売事業者の事業承継とM&A」というテーマでお話をさせていただきます。ご存知のとおり、LPガス業界は非常に大きな変革期を迎えていると思っています。事業環境が大きく変わると同時に、オーナー会社では2代目、3代目の方が多くなってきているのではないでしょうか。この世代交代のタイミングもあり、新しい事業戦略をどうしていこうかと考える方も少なくありませんし、私にもそういった相談が多いです。そういうなかで、将来に向けて企業の価値を上げたり、会社が成長するためのM&Aの活用についてのご提案をさせていただいています。

 まずは簡単に自己紹介をさせてください。1986年生まれの37歳です。父が化学関係の製造会社を営んでおり、私は一人息子です。大学3年生のとき、父がくも膜下出血で倒れてしまいました。就活のタイミングだったこともあり、好きな業界に行くのか、会社を継ぐのかという意思確認をされました。しかし正直、化学にあまり興味がなかったのです。幼いころは土日に父の工場に行っていましたが、「においがきつい環境で働いているんだなぁ」といった印象でした。当時は金融業界に興味を持っていたので、「継ぐ気はない」と伝えて銀行に入りました。

 父の手術はうまくいき、すぐに復帰することができたのですが、その数年後には会社をM&Aで売却しました。そのことが、私とM&Aの出会いでもありました。そのころ、私はみずほ銀行の神田支店で法人営業をしていました。結構古い会社が多い街で、業歴50年や70年が当たり前。そういうなかで、毎年のようにオーナーの方がいらして、「実は引退することになったので、後継者と一緒に支店長に挨拶にきました」ということがよくあったのですね。そこにそんなにニーズがあるのかということと、思えば自分もそうだったのだということに運命を感じて、10年前に転職し、そこからずっとこの業界におります。

 昨年、スピカコンサルティングという会社を設立しました。まだ1年と少しの会社で、資本金は5,000万円。父の事業承継のパターンとは違い、会社を成長させるために一度M&Aをしています。つくって1年ほどではありますが、東証マークもつけてやらせていただいております。

LPガス業界のM&A

変革期にあるLPガス業界

 LPガス業界の方にとっては釈迦に説法になってしまいますが、この業界の歴史を簡単に振り返ってみます。1950年代にLPガスが一気に普及していったと学びました。とくに1960年代は東京オリンピックの聖火台の燃料にLPガスが使用されたり、家庭にも広く普及したことで、使用量も増えましたし、業界の会社の数もピークに………本文の続きを読む>>>