改正省令セミナー「業界新秩序の構築へ」|プロパン新聞・タスクフォース21
業界新秩序の構築へ 改正省令本格施行後の問題点と今後の課題
主催 プロパン新聞(産業報道出版) / タスクフォース21
開催趣旨
改正省令が完全施行されましたが、販売の現場ではいまだにその解釈や対応にばらつきが見られます。また、法令順守に対する姿勢にも、事業者間で温度差があることを示す事例が報告されています。
省令が掲げる「商慣行の是正」が、今後の業界をどのように変えるのか。そのビジョンと、現実との間にあるギャップを明らかにし、議論する必要があります。たとえば、改正がめざす料金の透明化は消費者から歓迎される一方で、事業者にとっては付加価値営業や、多様なエネルギーサービスの展開を妨げる要因になるのではないかという懸念もあります。さらに、仮に料金競争が激化し、大手企業への集約化が進んだ場合、地域のインフラを支えてきた中小事業者の存続が危ぶまれるおそれもあります。
本セミナーでは、改正省令が与える影響を多角的に検証し、制度・運用面での見直しや補足説明が行政に求められる場合には、その具体的な提言についても検討します。現場の声を集約し、消費者と事業者の双方にとって持続可能で健全な業界の方向性を模索する場として、建設的な意見交換を行います。
本セミナーは、タスクフォース21第169回例会をプロパン新聞(産業報道出版)との共催で特別例会として開催します。

松山正一氏
(弁護士)

角田憲司氏
(エネルギー事業コンサルタント)

境野春彦氏
(コネクトエネルギーCEO)

中田英穂氏
(東洋計器常務)

中川順一氏
(タスクフォース21事務局)
登壇者とプレゼンテーマ(仮)
プレゼン・討議内容は順次発表します。
14:00 開催の趣旨説明と本会の考え方 中川順一氏 タスクフォース21事務局
14:30 あるべき商慣行是正と健全な事業について 境野春彦氏 コネクトエネルギーCEO
15:00 改正省令対応での消費者契約法の懸念 松山正一氏 弁護士
15:40 全国事業者の改正省令対応事情 中田英穂氏 東洋計器常務取締役
16:10 改正省令対応への考え方と今後のあり方 角田憲司氏 エネルギー事業コンサルタント
16:40 意見交換会(ディスカッション) 上記登壇者
17:30 閉会挨拶 プロパン新聞
開催日・開催場所
2025年7月25日(金) 14時00分開会(13時30分開場) 17時30分閉会
開場予定 鉄鋼ビルディング(南館)4階 カンファレンス
住所:東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 地図・アクセスはこちら
★当日のオンライン配信は行いません。
8月1日以降、編集後見逃し配信
(正会員とオンライン会員、例会参加者・申込者のみ)
参加費用
一般(会員外) 1名 22,000円(1年間情報会員登録を含む。見逃し配信は別途申し込み)
申込締切りは7月18日。ただし、定員になり次第締め切ります
★優待★
正会員 当日・見逃し配信とも無料 複数参加可(5名程度まで。招待枠あり)
オンライン会員 当日1名・見逃し配信とも無料
情報会員 1名無料+1名につき5,500円(見逃し配信は別途申し込み。11,000円)
年会費
正会員=240,000円、オンライン会員=66,000円、情報会員=15,000円
この機会に情報会員にご入会を
年4回の情報誌と年2回以上の資料送付、会員Webページの閲覧、例会の割引等の特典があります。情報会員入会後に1名無料でご参加ください。
★入会申込★ まで。
申し込み
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討議テーマの検討
第168回例会(2025年6月4日)での「情報・意見交換会」で確認された、次回第169回特別例会での討議テーマは以下の通りです。テーマの検討は今後も行い、随時発表していきます。
三部制料金制の徹底に関する現状と課題
都道府県の指導内容にばらつきがあり、設備料金の算定根拠も不明確な状況が続いている。改善のための方策を探る。
オーナー等への新規設備無償対応禁止の遵守状況
表面的には停止しているが一部で継続している情報もある。新築集合住宅案件の獲得が困難になる状況の打開策を検討する。
LPガス省令改正後の競争環境の変化
商慣行是正により生まれる新秩序とはどのようなものであるべきか、新しい営業手法も含めて模索する。
「情報・意見交換会」での議論の内容
三部制料金の実態把握が困難
情報・意見交換会は「本格施行が始まった改正省令と昨今の業界動向」と題して、7月25日の特別例会での本格的な議論に向け、当日のパネラーでもあるエネルギー事業コンサルタント・角田憲司氏、コネクトエネルギーCEO・境野春彦氏、タスクフォース21幹事・中田英穂氏(東洋計器常務)、同事務局・中川順一氏(ノラ・コミュニケーションズ社長)による論点整理が行われました。
改正省令の核心である三部制料金制度について、角田氏は「事業者の現時点での三部制料金の徹底について、対応状況は残念ながら断片的にしか把握できていない」と、現状への懸念を示しました。関東、近畿、中部地域では本省からのアンケート調査が実施されているものの、全国的な実態は不透明です。設備料金の設定方法や算定根拠について詳細な調査が行われていますが、立ち入り検査の実施状況については情報が不足しています。
「2025年度からの立ち入り検査で都道府県も地方局も連携して2か月が経過したが、実際にどのような確認や指導がなされているか、全く情報が入ってこない」とも指摘しました。
県による指導内容にばらつき
現場での混乱を象徴するのが、都道府県レベルでの指導内容の相違です。境野氏は「県によって対応が極めてばらばらで、県の危機管理部門のレベルが低いのが実情だ」と、自身の契約先での事例を踏まえて問題点を指摘しました。
特に深刻なケースとして、ある県では「設備料金はゼロにしなさい。他社もやっているのだからゼロにしろ」という誤った指導が行われたということです。 「これは言語道断で、無償対応がある場合はきちんと外出し表示しなければならない。ゼロにしろという指導権限も存在せず、国の方向性とも異なる」と境野氏は強く批判し、厳重な抗議を行ったことも語りました。
設備料金設定の現実
実際の料金設定について、中田幹事は業界の実態を説明しました。
「設備料金をゼロ円で表示している事業者は、一つのアパートに異なる料金が併存することを懸念してのことだと思われます」とし、一方で、基本料金から設備料金を分離する事業者も多いとしています。「従来2000円だった基本料金から設備料金として200円や300円を別建てにする事業者が多い」ですが、ただし、算定根拠については「明確な根拠はありません。周囲の動向を見ながら、他社が200円や300円程度であれば同程度に設定するという状況です」と、明確な基準がない実態を報告しました。
無償対応禁止の効果と限界
新規の設備無償対応禁止については、一定の効果が見られる一方で、地域差も浮き彫りになりました。
境野氏は「表面的には無償対応を停止したと言いますが、深く聞くと関係を断ち切れない不動産会社があり、やむを得ず継続している部分もあるようです」と微妙な状況であると述べています。
中田幹事は「賃貸集合住宅への設備の無償対応はないと考えます。そのため新築案件のほとんどが受注できず、LPガス業者はほとんど獲得できていません」としています。この結果は「オーナーは公平で安価なガス料金を選択している」とも見て取れ、都市ガス供給エリアでは都市ガスが選択される傾向が強まっているという状況を感じているとしています。
競争環境の変化と消費者の反応
無償対応に依存できなくなった事業者の間では、新たな営業手法を模索する動きも見られます。一部では紹介料を提示した切り替え提案が行われていますが、境野氏は疑問を呈しました。「積極的に行われているかは疑問で、実際にトラブルになっている事例はあまり聞きません」。
一方で、戸建て営業への注力は確実に進んでいます。「戸建て営業への重点シフトは確実に進んでいます」と中田幹事も語っています。
改正への消費者の反応について、境野氏は「1万件規模のあるLPガス事業者では、3部料金に関する問い合わせがわずか2件でした。消費者の反応はほとんどありません」と事例を報告しました。
この背景について、「本来入居者やオーナーが負担すべきエアコン代をガス代に転嫁することへの議論から始まりましたが、家賃が上がるわけではないため、一般消費者にとっては直接的な影響が少ないことが理由でしょう」との分析が示されました。
7月特別例会で本格議論へ
これらの課題を受けて、7月25日には東京・八重洲口の鉄鋼ビルで特別例会が開催される予定です。プロパン新聞との共催で「改正省令本格施行後の問題点と今後の課題」をテーマに、業界関係者だけでなく一般参加者も交えた議論が行われます。
登壇者プロフィール
松山 正一(まつやま・しょういち)
松山・野尻法律事務所所長。1954年生まれ。早稲田大学法学部卒業。第二東京弁護士会所属。弁護士歴は30年以上に及び、企業法務を中心に活動。東証プライム上場のエネルギー企業の顧問を務め、契約、債権回収、法改正対応などの実務に精通する。著書に『LPガス販売店のための法律Q&A(第1~6版)』(諏訪書房)、『この一冊で「刑法」がわかる』(三笠書房)などがあり、現場に役立つ解説書として広く活用されている。
会社法・民法・刑法など基本法の理解を重視しつつ、世間の常識や実務感覚を交えた助言を行う姿勢に定評がある。液石法に精通した弁護士として、業界企業・団体のほか、行政、消費者団体主催のセミナー等にも招聘されている。
角田 憲司(つのだ・けんじ)
エネルギー事業コンサルタント・中小企業診断士。愛知県出身。1978年に東京ガスに入社。営業、マーケティング、熱量変更、卸営業など各部門で幅広い実務を経験。2011年に千葉ガス社長に就任し、2016年には日本ガス協会の地方支援担当理事を歴任。2020年より独立し、都市ガス・LPガス業界向けに講演、執筆、コンサルティングを行う。
千葉ガス在任中には、2013年に複数自治体と連携した「地産地消型自治体新電力構想」を提案。地域密着型エネルギー供給の推進にも注力。現在も地域の視点からエネルギーのあり方を問う活動を続けている。都市ガス、LPガス、電力専門誌への執筆のほか、YouTubeビデオブログ『角田憲司のbusinessissue』では、エネルギー・環境問題を広範に取り上げてている。
境野 春彦(さかいの・はるひこ)
1992年に慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、大手石油会社に入社。液晶フィルム、太陽光、燃料電池など新規事業を多数手がけ、2007年には最年少管理職としてトップ直轄プロジェクトを指揮。2002年からは液晶フィルム事業の立ち上げに参画し、供給危機下で24時間操業体制を主導して乗り切った経験を持つ。
2015年にLPガス元売会社に出向し、電力自由化を見据えた提案活動を展開。LPG販売事業者と直接向き合う中で、人対人の関係性を重視した営業のあり方に共鳴。業界内外に広い信頼関係を築いた。2019年からは新電力会社の低圧部門を統括。2025年、講演と現場支援の経験を基にConnect Energy合同会社を設立。現場感覚と実体験を軸に、業界の持続的成長を支える活動を行っている。
中田 英穂(なかた・ひでお)
タスクフォース21幹事。東洋計器株式会社常務取締役(関東・東海地区担当)。専修大学法学部卒業後、1979年に東洋計器に入社。以来、46年間勤務。高松事務所、名古屋支店、静岡営業所、東京支店勤務を経て、営業本部取締役から現職。業界内の広範な人脈と、収集した情報の分析から、LPガス販売事業に関するさまざまな提言を行っている。分計メーターや「LPガス料金メニュー」の普及に貢献。長年、取引先企業はもとより、業界団体の研修・セミナー講師、構造改善事業等のアドバイザーも務める。
また、地域との結びつきも深く、松本ハイランド農業協同組合の組合員としても活動している。
中川 順一(なかがわ・じゅんいち)
一般社団法人タスクフォース21事務局担当理事。1983年、廣済堂産報出版入社。「プロパン新聞」「月刊LPガス」などLPガス業界専門誌の編集記者として活動し、元売会社の広報、卸系販社の機関誌、消費者向けPR誌の制作を担当。1992年に独立し、業界関係者とのネットワークを活かし、現在までLPガス業界の販促・広報・広報支援業務を展開。中央大学文学部卒。現在は、株式会社ノラ・コミュニケーションズ代表取締役、産業報道出版株式会社取締役、などを務める。過去、中央大学生涯学習講座講師、駒沢女子大学講師、学校法人中央大学評議員なども務め、業界に精通した執筆・講演・出版活動のほか、自分史・社史出版のセミナー講師やコラムの執筆も行っている。